わたしの夏、あの子の夏、彼女たちの夏
あるはるかのさえぐさです。
今日はなんだか車内が暗いな、と思ったら、UV加工が施された車窓だった。換気のためにすこし開けた窓から、本当の朝の光が差し込んでおり、やはりもう夏は近いのだなと知る。
ひと席飛ばして座る大学生のような男の子は、恐らくラクロスのラケットを持って寝こけており、肌は真っ黒に日焼けしている。
隣駅から乗ってきた若い女性の2人組は、底の厚いサンダルを履き、手を絡めるように握っていた。どちらの爪も、きれいにネイルが施されており、歩く姿こそ千鳥足だけれど、ブローされた茶色の髪は、ふんわりと内に巻いていた。
それぞれの夏が、もうすぐそこにいる。梅雨はこのまま来ないのだろうか。ないことになった季節は、帳尻合わせのようにどこかの時期にあまり良くないことをもたらすので、どうかきちんと梅雨が来ますように、と、願っている自分がいる。
それにしても、マスクをつけての2度目の夏は暑い。去年の記憶が全くないのは、マスクをつけてそんなに長時間お外にいなかったからだろう。今年はそうもいかないな。すでに毎日、毎朝、マスクの中で汗が溜まる。
わたしの夏は、もう始まっているのかもしれない。