およぐ、およぐ、泳ぐ

不安障害です。日々のことを書いていきます。

風雨の翌日鳥は鳴かない

早朝の電車は、緊急事態宣言にはあんまり関係がないみたい。もっと混むかと思ったけど、5時半はさすがに早すぎるってことなんかね。

 

雨が上がった次の日は、鳥があまり鳴いていなかった。晴れていても、雨の滴が垂れるばかりで、チッチッチッチッと鳴くいつもの声は聞こえなかった。

 

風雨があんなにも強かった昨日、鳥たちはどこにいたのだろう。いつも不思議に思う。東京は以外と緑が多い、というから、どこか、彼らだけが知っている秘密の場所があるのかも。それとも、街路樹をよくよく見れば、静かに、じっと、風雨が過ぎ去るのを待つ彼らの姿が、この目に映るのかもしれない。

 

風雨が過ぎ去るのをじっと待つ、のは、どんな気持ちだろうか。たまりかねて、飛び出して、風雨を全面に受けて、飛ばされて、右も左もわからなくなる子だって、いるのかもしれない。

 

「だから言ったのに!」

 

と、樹木に留まる鳥たちは、その子を見つめ、強い風雨の中消えていくあの子を、見送るのかもしれない。

 

晴れた日に、いつもの樹木から飛び立つ大勢の鳥と、風雨に流され、わけもわからずたどり着いた新しい樹木から、飛び立つたったひとりの子。

 

鳥は頭がいいというから、そんなことは起こり得ないだろうし、彼らはするべきことを知っているから、尚更、風雨の中飛び出すなんてこと、しないんだろう。

 

でも想像する。たったひとり、飛び出した子のことを。晴れた日に、新しい場所に放り出されて、次に向かう場所を知らぬうちに飛び出す、その子のことを。