夕立から逃げるように走って駅に着いた。
駅に着いた途端に雨脚が強まって、屋根を激しく叩く。
たくさん雨が降っているはずなのに、駅構内がとっても明るくて、外の雨が見えない。
音だけが大きく、小さく変化して、雨の存在を伝えている。
私に見えている夜の景色に雨はいないのに。
ざあっと大きく降ったと思ったら、一定のリズムと大きさに音が収まって、雨は降り続く。
雨と雨の合間にスズムシやコオロギが鳴き、夏がどこかに行くことを知る。
踏切がなって、上り電車が入ってくる。
東京行きはきっと空いているはずだ。
特急が駆け抜けたあとに、私を運ぶ電車が来る。雨の匂いを巻き上げて、来る。