この物語知ってるし
昨日は病院。
「話はまだ終わってないぞ!めちゃくちゃにしてやる!」という気持ちが強いことを、先生に伝える。
「許さないぞ!元気になるなんてどうかしている!傷ついているのになんで元気になろうとするんだ!話はまだ終わってない!落ちるところまで落ちてしまえ!」
と、言っている自分がいるんです、どうやらその人がどうしても納得しないみたいで、うまくいきそうになると、途端に足を引っ張るんです、とわたしは言った。すると先生は、ちょっとびっくりした顔をして、
「楽になりたいから休みたい、ってことではないの?」
と聞いた。
そのような気持ちもあることにはあるが、許さないぞ!の気持ちの方が強いです、と伝える。この人の言うことをあんまり聞かないほうがいいですよね、とも伝える。
先生は、
「言うことを聞かないのはよくないよ。必要だからその気持ちが出てきているんでしょうから、ちゃんと聞いてあげたほうがいいと思う。でも、めちゃくちゃにしてしまえ、仕事を辞めてしまえ、は、本心じゃないかもしれないから、ほんとうに言いたいことはなんなのか、わかるといいですね」
と言った。
そうかあ、と思い、診察室をあとにする。
それから、前から興味があったし、カウンセリングを受けてみようかな、と思い立つ。
便利な世の中になったから、オンラインのカウンセリングがすぐに見つかって、さっそく予約を入れる。
14時から、と言われて、その時間までそわそわして待つ。
担当してくれたカウンセラーさんは、とっても優しそうな人だった。
かくかくしかじか、午前中に先生に話したことと同じことを伝える。伝えているうちに、「許さないぞ!」の気持ちのほかに、「思い知らせてやる!」があることに気づく。
どうやら、思い知らせてやるぞと、思っているみたいです。
と、カウンセラーさんに伝える。
「誰に思い知らせてやりたいんでしょう?」
と聞かれ、
おかあさんに。
と答えて、ああ、まだここにいるのかわたしの気持ちは、と、ふと思う。
思春期の頃からの七転八倒をカウンセラーさんに話し、ここでもやはり、
「ほんとうに望んでいることはなんなのか、気づいてあげられるといいですね。」
と言われて、カウンセリングは終わった。
終わったあとに、わたしはおなじ物語の中を、ぐるぐる回っているんだな、と思う。それから、そのことに気づいた瞬間に、
この物語、飽きたな。
と、妙に冷静に考えた。
もうこの物語の中にいるのは、飽きたかもしれない。何度も何度も、かゆいかさぶたを剥がして傷口をいじってるみたいだし、この物語、わたしもう十分知ってるし、もう、いいかな、みたいな気持ちになっている。
こんな気持ちは初めて。
自分の物語に飽きただなんて、これは一体、どういうことなんだろう。
不思議と昨日から、世界がくっきり見えている。