およぐ、およぐ、泳ぐ

不安障害です。日々のことを書いていきます。

口から音を出す

あるはるかのさえぐさです。

 

口から音が止まらない。気がつけば歌いたくなる。まるで天才ぶってるように見えるがそうではない。ストレスなのだ。この目の前に広がる、立ちはだかる、ただそこにある世界が、現実が、つらく、引き裂かれるような思いがして、そうなると、わたしは目を開けていられなくなる。まぶたにマジックでぐりぐりと目を描いて目を開けたふりをしている。こころは其処にいない。ただ虚空をふわふわ浮いている。地に足をつけることすら、もう、怖い。

 

そうすると、音楽に逃げ込む。ライナスの毛布を求めるように、慣れ親しんだ音楽に逃げ込む。毛布でぐるぐる巻きにして何も見たくない。自分で口から音を出して耳から入ってくる音を消してしまいたい。ただそれだけなのだ。聞くだけでは物足りないのは、腹の中で引き裂かれた思いを抱えきることができないからだ。だから口から音が出る。他人の音、自分たちの音、歌ならなんでもいい。こういう時期は歌に、耳を塞いでもらうしかない。口から音をだらだら出して(歌って)息を吐くから、息が吸える。

 

思い出したのだ。そうやって生き延びてきた。だから今もたぶんそうしている。天才なんかじゃない。口から音を出すことが、身を守る術だった。それだけのことで、それがあってよかったと、思っている。