およぐ、およぐ、泳ぐ

不安障害です。日々のことを書いていきます。

たっぷりのお金と休暇をあげてください

菅総理の読み方がわからなくなるほど、情報から距離を置いていたみたいだ。

NHKのドキュメンタリーで、もがいてもがいて働く看護師さんたちを見たあと、たまたまTwitterをみて、オリンピックをやることにどこまでも突き進むことを譲らないお上のひとたちを見て、わたしはいま、どこにいるのだろうと思った。

 

泣きながら休職する看護師さんと、流れてきた情報がつながらない。毎日目にする街の風景がつながらない。つながらないまま、わたしは宙ぶらりんになる。宙ぶらりんなまま、こころは、静かに、言葉を失う。

 

昔、ライブハウスの人と、全てのステージが終了してからの精算の時間(課せられた動員ノルマに達しなかった分をお支払いしながら、今日の演奏や今後のことを話す時間、主に、相性が悪ければ、地獄)に会話をしていたときのことをふと思い出した。

 

話の文脈は忘れたけれど、わたしは、「白でも黒でもない、グレーなことを、歌いたい」というようなことを言った。即座に否定された。

 

でも、と思う。

 

いま目の前にある世界は、白なのか黒なのかわたしにはわからない。判断する術がない。膨大な「グレー」が積み重なって、その人がいる場所から見える世界が「是」で、反対にいる人は「非」で、だいたいの市井の人々はゆらゆらと揺れ、一部の、本当に一部の人たちに、重く、終わりのない、強い負荷がかかっているような気がする。

 

彼女たちの、彼らたちの、涙や、諦念や、感情や、根性や、努力我慢心が壊れていく音は、この世界のどこに受けとめられるんだろう。

 

たくさんお金をあげてほしい。感謝の言葉は一瞬でなくなる。お金と休暇をあげてほしい。一時期持ち上げられた「エッセンシャルワーカー」とやらの端くれにいる身として、そう思う。「エッセンシャルワーカーに感謝のブーム」はもう終わったみたいだから。わたしは仕事中に、「近づかないでください」とはっきりと、すれ違いざまに言われたから。

 

だから、彼ら彼女らが、自分で自分を守れるだけの、お金と休暇を、たっぷりあげてほしい。ただそれだけのことを、何かが阻んでいるのなら、それこそ、「黒」だと、わたしは言い切る。

 

グレーの中でもがく人から、掴むべき藁を奪うような世界は、一体なんなのだろう。わたしには、語れる言葉がない。何もない。