およぐ、およぐ、泳ぐ

不安障害です。日々のことを書いていきます。

午後2時を告げるラジオ、午前5時の街

あるはるかのさえぐさです。

 

「午後2時になりました」とラジオが告げるアナウンスを聞きながら歩く通勤路は午前5時10分。帰りに人で溢れている道はいまは誰もいない。昨日は何人かすれ違ったけれど、今日はたった1人、前を歩く人しかいなかった。

 

ラジオに集中していたので、魔女の店の猫への挨拶を忘れた。ガラス越しに、店の外が見える位置に置かれた椅子にちょこんと香箱座りしている看板猫。誰のことも嫌がらない。誰のことも意に介さない。薄目を開けて朝を見ている。

 

猫を通り過ぎてすぐ、ガラス張りの花屋さんがある。中はきっと、お花にとって最適な温度で、人間にとっては寒いのだろう。ここのお花は、緑も含めてとてもきれいだと思う。

 

駅前の富士そばの前で、鳩が2羽、何かを一生懸命つまんでいた。そこにはなにがあるのか、わたしには見えない。それだけちいさいものを捉える瞳には、この街はどう映る?住み心地はいかがですか。

 

駅の改札を通過する。朝5時台の電車はたぶんだいたい同じ人が乗っている、はずだ。わたしは見ているか見ていないかわからない目でぼんやりしているので、誰の顔もわからない。そもそも人の顔を覚えることが苦手だ。

 

あと10分ちょっとすれば、職場の最寄駅に着き、地下を通って地上への出口を登れば、しっかりと朝になった新宿の街が待っている。

酔いどれの、出勤の、退勤の、そこでいつも一夜を明かす人々の、住む街が、朝日に照らされているはずだ。