およぐ、およぐ、泳ぐ

不安障害です。日々のことを書いていきます。

優しい待合室

診察待ちの待合室。すこし消毒のにおいがして、診察室の声が漏れて聞こえる。先生が笑っている。やさしい声だな。

 

ニュースの声は怒っている。一年遅れの入学式ができた大学生の子達はとても嬉しそうに笑っている。政治家の人はどうしてもたくさんの人とご飯を食べなくちゃいけない生き物みたい。入学祝いで買ってもらったスーツがやっと日の目を見ます、と花のように笑う女の子。深夜の会食で怒られるおじいさん。薬の説明をやさしくしてくれる薬剤師さん。テレビ、空気清浄機、自動で検温する機械のピッという歯切れの良い音、この機械にはじかれたらこの空間には入って来られない。わたしは「正解」でしたので入室できました、よかったね。

 

薬をもらって人が一人去るとすかさず消毒する人が現れる。痕跡は残せないのだ。わたしたちは全て、きれいに、濁さず、この場を立ち去らなければいけないね。

 

受付から名前を呼ばれる。今日の先生は、この前の先生と違う先生ですけど診察できますからね、と、やさしく言われる。この待合室はやさしい空気しかない気がする。この病院がそうなのかな。わたしがそれを求めているからかな。どっちもどっち。

 

優しい受付、優しい診察、優しい会計、そのあとに入念に消される痕跡。夕方のニュースって、もっと優しくなかったっけ?どうでもいい時間じゃあ、なかったっけ。