知らん終着駅
あるはるかのさえぐさです。
朝にも夜にも夕焼けにも見えるような空だった。いつもの電車の、だいたい同じ席に座って、スマホでこれを書く。
寝てる人スマホいじる人本を読む人。この時間帯の電車は、2時間後の車内よりも幾分余裕がある。早朝から働く人々、もしくは一仕事終えた人々、もしくは、どこか遠くへ行く人々。
最寄り駅までは10分弱、出口に1番近い車両ももうわかっている。職場に1番近い地下街の出口も知っている。
職場がどんどん近づく。パラパラ人が降りていく。大きな駅でなくても働く場所はあり、そこが目的地の人もいる。もしくは、部屋に帰って、しばらくぼんやりしてから、眠りにつくのだろうか。
中継地点の大きな駅がターニングポイント。ここで、わたしの目的地まであと何駅かを知る。
もし、いま、行き先も確認せずに乗ったこの電車が、いつもの駅に辿り着かなかったら。
いつのまにか、いつもの線路からそれて秘密の線路に入り、知らん街、知らん海、知らん山、知らん谷間にたどり着いたら。乗客のうち何人が怒り狂って、何人が喜ぶんだろう。
わたしはどっちかな。
とりあえず、しばらく、知らん終着地点で、ぼんやりするかな。
少なくとも、それくらいのこころの幅は、なくしたくないかなあ。