およぐ、およぐ、泳ぐ

不安障害です。日々のことを書いていきます。

選ばれ損ねる

帰りの電車でこれを書いている。今朝は突発的なことに遭遇してそのことで頭がいっぱいになった。

 

道端に倒れていた男性を介抱していた。通行人の方が、ちょうど目の前にあった病院に声をかけに行ってくれた。出てきたのは医療者の方々でなく守衛さん。そこまでは理解できる。

 

そのあとが理解できなかった。

 

事情を説明しても病院になかなか入れてくれようとしない。もう男性が立ち上がれていたから?コロナが蔓延しているから?倒れていた男性は中年だった。これから仕事で川崎に行くと行っていた。スーツじゃなかった。

 

守衛さんの態度に、男性のこころが折れる音がはっきり聞こえた気がした。私の説明にも、守衛さんは全然耳を貸している気配がない。このまま、帰すの?仕事に行く途中で突然倒れたひとを?なぜ?

 

そうこうしているうちに、別の通行人の方が呼んでくれたお巡りさんが自転車でやってきた。心の折れた男性は仕事に行くと言っていたが、お巡りさんは男性を怒った。叱った、と言ったほうが正しいかもしれない。

 

「命に関わる問題かもしれないんですよ。」

 

どうしてお巡りさんにわかることが、私ですらうっすら感じていたことが、この守衛さんには届かなかったのだろう。わからない。酔っ払いじゃないことは話をすればわかったはずだ。顔も擦りむいていて、立っていても何だか覚束ない様子を見てもなお、病院に戻って医療者を呼んでこようとする気配がなかった守衛さん。

 

あなたはなんのためにそこにいるの?あなたはなんのためにここに来たの。

 

結局、私はお巡りさんにおじさんを引き渡してその場を去った。ただ虚しい気持ちだけ膨らんだ。その後、同居人が同じ場所を通るはずだったから、状況がどうなっていたか確認した。

救急隊員の方が出てきてくださっていたとのことだった。

 

もしお巡りさんが来なかったら?

もし守衛さんがそのまま倒れていた男性を帰していたら?

倒れていたのがスーツの男性だったら?

同じことを守衛さんはしたのだろうか。

 

ねえ守衛さん。こたえてくれよ。