SABONの暴力にさらされたい
解雇通告の衝撃から数日経ったが、相変わらず弊社にて今日も勤務している。
解雇を言い渡された日は、ショックのあまり、よくわからない買い物をしてしまった。
遅かれ早かれいづれ金がなくなるというのに消費行動にはどめをかけることができなかった。
せめていい匂いのするものを、という気持ちが頭をもたげて、半年ウジウジ悩んで買わないでいたSABONの製品を買った。
店の真ん中で、マンガみたいな、噴水を模した洗面台で、芳香性の強い泡でお姉さんに手を労られながら、わたしは何をしているんだろうとチラリと思ったが、ここで買うのをやめてしまったら余計に心が死に向かってしまう。だのに、4000円もしたそれは、我が家の風呂場だとすぐに香りが死んでしまう。
たぶん無意識に、ケチって使っているからだろう。
匂いの筋ができるほど、人工香料を身に纏ってしまいたい。いい匂いで頭からっぽになりたいなあ。ああ、今日も早く家に帰りたい。