無職にどんぶらこ
送風口から、小鳥が鳴くような声がする。振動で窓枠が揺れ、キュルキュルとかわいらしく鳴いている。
朝9時の日差しは、6時の日差しと全くの別物だとは知らなんだ。
ぎらぎらと照りつける太陽が毛穴から汗を搾り取るようですがすがしい。
安定した賃金や職を欲しているのだなあと呑気なことを言っていたら、まさかの解雇を告げられた。
秋口で唐突にいまの職に別れを告げなければならないなんて、いくら昨日まで「何か別の手堅い職があるのかも」と思っていたからって、あんまりだ。
変なところで勘が冴えているのか、こんな偶然ほしくなかったなあ。
どうにもこうにも食べてゆかなくてはならない。
また先の見えない大海原に放り出されてしまった。どんぶらこ。